パーティーの後片付けが終わって、名残惜しさを感じながらもみんな帰っていく。
その中でわたしは、生徒会室に残っていた。
「綾瀬かーいちょ……って、もう呼べないですね」
部活が終わり帰っていく生徒の姿を窓越しに見ていると、後ろから天馬くんが呟く。
「もうわたしも一般の生徒だから」
もう、生徒会長じゃない。
「じゃあ初花」
「……へ?」
天馬くんに下の名前を呼ばれるのは初めてで。
ドキドキと胸が音を立てる。
その瞬間、ギューッと後ろから、抱きしめられて。
「初花先輩って呼んでいい?」
天馬くんは、わたしの右肩に頭を乗せて、顔を覗き込んでくる。
見ないでっ。
きっと、今のわたし、顔が真っ赤だから。
そう願っても、天馬くんはわたしを離してなんかくれない。



