子犬系男子の甘い溺愛が止まらない




目の前には全速力でわたしの元へとやってきたポロシャツ姿の天馬くん。


いざ話そうとして面と向かうと、ドキドキが止まらない。


緊張して、手が震える。



「綾瀬会長、可愛すぎるっ……こんな姿みんなに見せてたんですか? 僕、嫉妬しちゃう」


「本当、お前は……」



天馬くんはいつもの調子でからかってきて。


同じはずなのに、自分の気持ちに気づいてしまってから、いつも以上に意識してしまっている。



「僕に嫉妬してます? 藤ヶ谷せーんぱい」


「そんなわけないだろ。なんでお前に嫉妬なんか」


「じゃあ、この後僕が綾瀬会長を独り占めしちゃっても文句ないですよね?」



あまりにも緊張していて、2人のやり取りを聞いていなくて。


突然天馬くんに腕を組まれて、ハッとする。



……天馬くん!?

何、言ってるの?


ひ、独り占めってどういうこと?



頭の整理がつくより前に、天馬くんがわたしの手を引いて歩き出す。


藤ヶ谷くんは……とそちらを見ると、確かに"頑張れよ"と口が動いた気がした。