子犬系男子の甘い溺愛が止まらない




───キーンコーンカーンコーン。



わかりやすく前半終了の合図は、いつもの聞き慣れたチャイム。



「仁奈ちゃん、ごめん。今日なんだけど……」


「わかってるよ!行ってきな、初花!ダメだったら戻っといで、慰めてあげるからっ」


「ありがとう」



まだ何も言っていないのに、仁奈ちゃんはわかってくれているみたい。


毎年自由時間は仁奈ちゃんと一緒に校内を回っていたから。


早く行かないと。


仁奈ちゃんに感謝をして教室を出た。



「おぉっ、そんな急いでどうした?」



ちょうど階段に出る廊下の角で藤ヶ谷くんと鉢合わせる。


後半のシフトの藤ヶ谷くんは、ちょうどクラスに戻ってくるタイミングだったらしい。



「ちょっと用事が……」


「あー、」



藤ヶ谷くんも仁奈ちゃんと同じで察しているようで、本当に不思議な気持ちになる。



「でも、そんなに急がなくても良さそうだよ」



藤ヶ谷くんの視線はわたしに向いていなくて、その先を見ている。


振り返ると、そこには探しに行くはずだった天馬くんがいた。