子犬系男子の甘い溺愛が止まらない




「初花ってば、今まで何にも気づいてないの?」


「……何のこと?」



友達にお昼を食堂で食べようと誘われて、藤ヶ谷くんが教室から居なくなった頃、お弁当の卵焼きを頬張る仁奈ちゃんに問いかけられた。



「何って、藤ヶ谷のこと」


「藤ヶ谷くん?」



んー、何かあったっけ?


藤ヶ谷くんとは1年生の頃クラスは違って、生徒会室で初めて会った。


わたしが入部した時にはもう既に入っていて、先輩の元で仕事をしてたっけ。


それからずっと相方のような存在で助け合いながら生徒会を引っ張ってきたわけだけど……



「頼りになる相方?……あ、春休み中に髪切ってたかな?」


「あー、気づくってそのことじゃなくて」



他にそんな不思議なことなんてなかったと思うんだけど。


仁奈ちゃんは2度目のため息をついていた。