「何よー、藤ヶ谷」
「別に……相変わらず騒がしいなって」
終わったばかりの教科書とノートをカバンにしまいながら、横目でこちらを見ていた藤ヶ谷くん。
「あーもう、ムカつく。 なんでこんな奴が初花と一緒に生徒会やってるの!?」
藤ヶ谷くんの言い方が仁奈ちゃんの気に障ったらしく、イラッとしているのがわかる。
言い合いをしていることはあっても、喧嘩をしているところは見たことがなくて……
この2人は仲がいいのか悪いのか、よくわからない。
「藤ヶ谷くんはちゃんと生徒会の仕事やってくれてるよ? いつも助けられてるし……」
「はぁ、本当に藤ヶ谷って初花にだけはとことん甘いんだから」
そんなこと、昨日も絢ちゃんに言われたような。
「相変わらずこの子はなんにも伝わってないみたいだけど」
「うるせ、」
「可哀想に」
「何が可哀想なの?」
話の流れについていけず、そう問いかけると、2人に深いため息をつかれてしまった。



