あまりにも真剣な仁奈ちゃんに、なんだかわたしも緊張して、ゴクリと喉を鳴らして唾を飲み込む。
「それって、もう恋だよ」
「……こ、い?」
「そう、恋。初花は天馬くんに恋してるの。天馬くんが好きなの!わかる?」
仁奈ちゃんは、わたしが自分で気づくのを待ってたのに本当鈍感なんだから…と呆れたため息が半分と、嬉しそうな笑顔が半分。
「恋……わたしが天馬くんを好きに……」
わたしに好きな人ができるなんて思ってもいなかった。
あの父親の件があったから。
恋愛なんて本当に脆くて、いつ壊れるかなんてわからない。
どんなに相手を信じていても、簡単に裏切られる。
そんなもの、わたしにはいらないってずっと思ってた。
そんなわたしが、恋。



