「……先輩」
２人が階段を降りていったのを確認したあと、先輩が寝ているベッドに腰掛ける。
冷えピタシートのおかげか、さっきよりも少しだけ楽そうにも見える。
眠っていても綺麗な先輩。
プルプルな唇は今すぐにでも奪ってしまいたくなる。
「……さすがに、ダメだよね」
寝込みどころか、先輩は今体調が悪い。
そんな人を襲うなんて、ね。
「……天馬、くん……」
「綾瀬先輩っ？」
小さな弱々しい声で、僕の名前を呼ぶ先輩。
起きているのか、夢の中で僕のことを呼んでいるのか。
どちらにしても、嬉しいことには変わりはない。
「行かないで……」
瞼はしっかり閉じていて、夢を見ているみたいだけど。
先輩はどんな夢を見ているんだろう。
そんなこと言われたら、自分を抑えきれなくなる。
「早く元気になって、綾瀬先輩」
必死に理性を抑えて、そっと頭を撫でる。
本当は自分の意思のくせに先輩のお願いだからと、もう少しだけ隣にいてあげることにした。
