日が短くなり始めているこの時期は、もう空は薄暗い。
太陽が沈んだか沈んでいないか微妙な時間。
無事に先輩の家に着いた。
───ピンポーン
家のベルを鳴らす。
先輩のお母さんには初めて会うことになる。
何から話そうか。
そんなことを考えていたら、インターホンの向こうから、お母さんというには幼すぎる声が聞こえてきた。
「お兄さんだーれ?」
もしかして……
ふと先輩の言っていたことを思い出す。
確か、先輩には妹と弟がいたはずだ。
「初花お姉ちゃんと同じ学校の天馬 央翔です。お姉ちゃんが熱出ちゃったみたいだから開けてくれる?」
怪しい人だと思われないように、名前を名乗って、ちゃんと映っているかわからないけれど、インターホンのカメラに背中の上にいる先輩の姿を見せた。



