先輩の体が触れる背中。
先輩の熱のせいか、すごく熱い。
「……天馬、くんっ」
「なんですか?」
僕の名前を呼ぶのに、僕の呼び掛けには返事が返ってこない。
多分、体が辛いんだと思う。
「だから、無理しないでって言ったのに」
「……ごめんね」
独り言のように呟いたはずだったのに、それには弱々しく返事が返ってきた。
もう、先輩は……
もっと自分のことを考えて。
「綾瀬先輩、もっと僕に頼って?」
もう体力の限界なのか、そんな僕の言葉は届かず、背中の上で眠りについたらしい。
もう少しで家に着きますからね、先輩。
硬い背中の上で申し訳ないけど、我慢してください。



