6人分のキャンプ椅子を巾着型の袋から取り出して組み立てていく。
あまりキャンプ経験がないわたしでも、簡単に立てられる。
「最近、天馬と仲良いよね」
「……え?」
藤ヶ谷くんとこうして2人きりでちゃんと話すのは、久しぶりかもしれない。
あの、告白以来。
未だに、返事はできていない。
まだ自分の中でよくわかっていなくて、するにもできないっていうのが正しいのかもしれない。
「最近よく一緒にいるじゃん?」
「うん、生徒会の仕事もペアになることが多かったからかな?」
うん、それだけ。
「一緒に水族館に行ったのも仕事?」
「……っ」
やっぱり、聞いてたよね、あの話。
狭い生徒会室で話してたんだから、嫌でも耳に入っているはずだ。
「あの白いイルカのキーホルダー。綾瀬もつけてるでしょ、鍵に」
「え」
まさかそこまで見られていたなんて……



