さっきまでの余裕そうな笑みはどこかへ消えて、悲しそうに眉を下げる天馬くん。
「なんで必死に僕とのことを副会長に隠そうとするんですか?」
「それは……」
「副会長のことが好きだからですか?」
「そんなことっ!」
「もっと僕のことだけ見て欲しいのに。もっと僕のことしか考えられなくなって、ドキドキして欲しいのに」
「いつも天馬くんにドキドキ……」
──って、今わたし、なんて言おうとした?
悲しむ天馬くんに、ふと口からこぼれてしまいそうになった言葉。
これは……何?
「えへっ、今はそれだけ聞ければ嬉しいですよ。僕はどんな先輩も大好きですから」
やっと手を離してくれた天馬くん。
それなのに、子犬のようなキラキラした笑顔にそこから動けなくなったのは、わたしの方だった。



