子犬系男子の甘い溺愛が止まらない




わたしがその場から動けないでいると、突然姿が見えなくなったわたしたちを探しに来た藤ヶ谷くんに見つかってしまった。


しかも、こんな格好で。


きっとまた、勘違いしてる。



「綾瀬会長ってば、本当に大胆で────」


「違うからっ! わたしが足を滑らせて転んだところを天馬くんが助けてくれたの! あまりにも景色が綺麗で見とれてたから……」


「ふぅーん。綾瀬がそう言うなら信じるけど。準備するからこっち来て?」


「うん、ごめん。今すぐ行くね?」



わたしが答えると、藤ヶ谷くんはいつものように不機嫌のまま、背中を向けて行ってしまった。


どうやらテントを立てたり、炭をおこしたり。


キャンプの準備をするために、わたしたちを呼びに来てくれたらしい。


それなら、早くコテージに戻らないと。



「天馬くん、離してくれる?……っ、天馬くん?」



藤ヶ谷くんの登場のおかげで冷静さを取り戻したわたしは、天馬くん優しくお願いするけれど、なかなか離してくれない。



「副会長のことばかり庇って……悲しいです」


「へ?」