テントを立てたり、必要な机や椅子などは事前にみんなで運んでいたから、わたしたちはセッティングだけ。


重いものは任せてと頼もしい天馬くんの言葉に甘えてお願いして、わたしは椅子を並べたり張り紙を貼り付け作業を行っていた。



「……どうしたの?」



なんとなく視線を感じて顔を上げてみると、ばっちり天馬くんと目が合う。


何かおかしな行動をしてしまっていただろうか?


それなら言って欲しいけれど……どうやらそうではなさそう。


ふふっと微笑みながら、こちらを見ていた。



「綾瀬会長が可愛いなって思って」



子犬のような笑顔を浮かべたままそう言う天馬くん。


そんな笑顔に吸い込まれそうになる自分を抑える。



「わたしは可愛くなんか……」


「綾瀬会長はもっと自分が可愛いことを自覚した方がいいですよ?」


「本当にそんなことないよっ」



天馬くんのペースに飲まれないよう、必死に反論した。