い、今……もしかして。
「綾瀬会長が悪いんですよ。 せっかく我慢してたのに、わかってくれないから」
唇、触れた……よね?
「て、天馬くん……?」
「もっと僕のことも意識してください」
天馬くんからのお願いに、わたしはゆっくり頷くことしかできなかった。
「えっと、資料、資料っと……あれ? お取り込み中でした?」
「……絢ちゃんっ」
資料棚の後ろから絢ちゃんが出てきて、ドキッとする。
「全然! 今資料室から出ようとしてたところだよ! ね、天馬くん」
「はいっ、じゃあ僕、書き込めるように職員室行ってコピーしてもらってきますね!」
隠すのが下手ですね。
そう耳打ちしてきた天馬くんは、資料を持って部屋を出ていった。
「……って、天馬くん違う資料持って行ってる! ちょっと追いかけてくるね!」
「それは大変です! 行ってらっしゃい」
適当に誤魔化しただけだったから、天馬くんの持ち出した資料は全く関係ないもの。
絢ちゃんに見送られて、天馬くんの後ろを追いかけた。



