「あっ、みんな帰り始めてますね!」
生徒会室は南側に面していて、窓からは生徒玄関が見える。
まだ胸に花をつけたままの新入生たちが、教室で受け取ったのであろう荷物を抱えて出てきていた。
「じゃあ、そろそろ片付けいくか」
「そうだね、みんな行こっか!」
藤ヶ谷くんの掛け声を合図に、みんなが立ち上がった時だった。
バンっと開かれた生徒会室の扉。
何事かと生徒会メンバー全員が驚いて、目を点にした。
「……えっと?」
胸元のお花は新入生の証。
そして、視線を上げて顔を見ると、その顔に見覚えがあった。
確か……代表挨拶をしている時に目が合って、ウインクをしてきた子。



