呼ばれて振り返ると、スマホのカメラを起動させた天馬くんがわたしの肩を引き寄せた。
触れ合うわたしと天馬くんの体。
……なんでだろう。
いきなり抱きしめられた時よりもドキドキする。
同じくらいの距離なのに。
顔がすぐ隣にあるから?
「綾瀬先輩も笑って!」
緊張する気持ちを必死に抑えて口角を上げる。
「先輩、緊張しすぎです。ほら、入ってすぐに見たあの魚の顔思い出して? 」
「っ、ふふ……」
「綾瀬先輩、ばっちりです!」
印象が強すぎて、すぐに思い出せたあの魚。
天馬くんは、わたしを笑わせる天才だね。
「そろそろお腹すきません?」
「うん、確かにすいたかも」
時計を見ると、もう12時半を回っていた。
どうりでお腹がすくわけだ。
「この水族館にいいレストランがあるんですよ!」



