「おまたせ、綾瀬先輩っ」
2枚のチケットを顔の前にVの字にして差し出す天馬くん。
そのチケットの間から覗かせる天馬くんの笑顔はキラキラしてる。
「ありがとう天馬くん。 チケット代払うよ! いくらだった?」
カバンを開けて財布を取り出そうとすると、天馬くんに腕を掴まれて止められた。
「今日は僕が綾瀬先輩を楽しませる日だから、いりません!」
「……でも」
先輩なのにお金を出さないってことにも罪悪感があるし、そうでなくても申し訳ない気持ちになる。
「その代わり、今日はたくさん綾瀬先輩の笑顔を見せて?」
「……っ」
下から覗き込んでその笑顔は反則だよ。
一気に心拍数が上がって、心臓が口から飛び出しそう。
「う、うん。 わかった」
「素直な先輩も可愛いっ」
おまけの頭ポンポンは、なんだか恥ずかしくてずっと下を向いてしまった。



