「綾瀬先輩? 大丈夫?」
「あっ、ごめん……ちょっと考え事しちゃってた」
ダメダメ、危ない危ない。
今は天馬くんとのお出かけなんだから、余計なことは考えないようにしないと。
「そう? 僕、チケット買ってくるから待ってて!」
「え、わたしも……!」
わたしも一緒に行く。
そう言おうと思ったのに、天馬くんは手を振って行ってしまった。
今追いかけて行ってしまったら、きっとはぐれてしまうから大人しく待っていることにする。
それにしても人が多い。
暖かくなってきた休日というだけで、家族連れやカップルがたくさんいる。
多分、チケット売り場も混んでるよなぁ。
あ、もしかして……
だから、天馬くんは人が少ない入口から離れたところで待ってるように言ってくれたのかな?
天馬くんの隠れた優しさにキュンとした。



