「じゃあ今日はデートが初めての綾瀬先輩に、僕が教えてあげますね」
ほらっと、一度離されていた左手を差し出されて、応えるように右手を上に重ねた。
それを合図に、天馬くんからギュッとまた手が繋がれる。
「今日は僕のデートプラン、楽しんでくださいね」
「うん、よろしくお願いします」
天馬くんはどんな所に連れて行ってくれるんだろう?
さっきまで不安だったのに、今はワクワクしている。
きっと、天馬くんと行くところは楽しいと心のどこかで思っているから。
そんな天馬くんについて行き、着いた先はこの辺で有名な水族館。
水族館なんて、いつぶりだろう?
まだ小さい頃、たぶん5歳とかだったと思う。
お母さんとまだ仲良しだった本当のお父さんと3人で手を繋いで来てたな……なんて。
思い出したら悲しくなってきた。



