「やばい寝坊っ!ごめんお母さんご飯要らないかもっ!」


「テスト勉強頑張ってるのはいいけど…日中お腹空いたらどうするの柚ちゃん」


「ほんっとにごめんっ!」



リボンをプチっと付けて洗面台の前。

歯を磨いて顔を洗って、寝癖のぴょんっと跳ねた髪を櫛でとかす。


一緒に朝勉強しようって遥に言ったのは私なのに、こんな日に限って寝坊なんてっ!!



「それじゃあ行ってき───わぁっ!」



ツンッと、床の微かな段差につま先を引っ掻けた私はそのまま前のめりに躓く───が。


ポスンっ。



「危ないよ柚」


「ご、ごめん…、ありがとうお兄ちゃん」



ふわっと支えらて、同じ柔軟剤の香りとワイシャツを腕捲りしたベスト姿。