なにこの菩薩みたいな人…。

なにこのキラキラした目、映い光に良い匂い……。


え、本当に私は仏様でも目の前にしてるの…?



「せ、生徒会長だ……」



本物だ…。
この人、悟りでも開いてるの…?

こんなにも優しい笑顔を異性から向けられたことなんか1度もなかった。


こりゃ女子達が騒ぐわけだと納得。



「はい、生徒会長です」



こんな二人きりで話してしまっていいのだろうか。

拝みたい気持ちの中、ハッと思い出した。



「すみません私急いでて…!生徒指導なら後日でも良いですか…?」


「本当は今しなきゃ駄目なんだけどね。でも実は俺も用事があって」



だから見逃してあげる、と人差し指を口元に当てて「しーっ」と笑う生徒会長。


それすらも様になってしまう。
そして王子様にしか見えなかった。

まるで映画の1シーンの中にでも居るような感覚に陥りそうになってしまう。



「あれ?でも方向一緒っぽいから歩きながら生徒指導しようか?」


「えっ、ここは見逃して頂けると…」


「ごめん冗談。俺も今日は少し楽しみなことがあって本当は走りたい気持ちでいっぱいでさ」