俺達を見て案の定反応を見せる生徒達を無視し、俺は1-Aと表示されたクラスへ向かった。
生徒会の仕事以外でここに来ることはあまりない。
それに今はお昼休み。
すぐに俺達を人だかりが囲んでゆく。
「えっと、なんだっけ。…あぁ、遥って子居るかな」
確かこいつがいつも電話してる友達の名前って、そんなだった気がする。
たまに校舎ですれ違うときも柚はいつもその子と一緒に居るし。
「えっ、湊先輩!?ってか柚っ!?どうしたんですか…!!」
「こいつの荷物貰える?それと、担任には具合が悪くなったから早退するって伝言よろしくね」
「わ、わかりましたっ!」
半分混乱しているようだったけど、そそくさとリュックに教科書を詰めて渡してくれる。
話の早い友達で良かった。
「ありがとう。あぁ、もし先生に何か言われたら俺の名前出してくれていいから」
ざわざわと群がる校舎。
ヒソヒソ立つ噂話に、泣いている女子生徒も中には居る。
まさかこんなくだらない理由でお前との関係をバラす羽目になるとは思ってなかったけど。
「大丈夫だよ、柚。お兄ちゃんが絶対守ってあげるから」
だから泣き止んで。
お前は馬鹿みたいに笑ってないと駄目なんだよ。
弱ってるお前は可愛く見えてしまうから、───駄目だ。
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