そして俺は橋本へと近付いて、その胸ぐらを掴む。
「うあっ!」と、驚く声が跳ねた。
「あのさぁ板前」
「い、いたまえ……?」
そうだよお前だよ。
お前はさ、人を小馬鹿にしてる暇があるなら寿司屋に弟子入りでもした方がいいんじゃないの?
「誰の妹が女装した男だって?」
「す、すみません…っ」
「2度と柚を泣かせるなよ。次同じ顔させたら只じゃ済まさないから」
「は、はい…!」
そしてこれは仕返しなんかじゃない。
泣いてる妹への慰めでもない。
「お前の彼女より、俺の妹の方が明らかに可愛いでしょ」
俺は柚の手を取って屋上を出た。
生徒会室にとりあえず待たせて、自分のクラスからスクールバッグを手にして戻る。
「行こ」
再び柚の手を引いて向かえば、周りはすぐに気付き始めた。
「ねぇあれ湊先輩じゃない!?」
「ちょっとどういうこと!?なんで手繋いでんの!?彼女!?」
「うそでしょ…!?」



