「お前ほんと見る目ないね、柚」
「み、湊先輩…!?」
そいつらの前へ向かった俺に、一番驚いてるのは柚だった。
「どうして」と瞳が語っている。
どうしてって俺の台詞じゃん。
俺は柚の隣に立って、ポンッと震える頭に手を乗せる。
「なに俺の妹泣かせてくれてんの?」
なんかもうバレていいかなって思った。
だって柚がただの馬鹿じゃないってことはとっくに知ったし、それに俺はお兄ちゃんだから。
妹が泣いてたら助けてあげるのが兄の役目だろう。
「へ…?妹…?」
「2人は兄妹だったんすか!?!?」
「でも苗字違くね?顔も似てなくね…?」
あー、うるさい。
きっと明日には学校中に噂が広がってるはずだ。
「そ、君には勿体ないくらい可愛いでしょ。妹を振ってくれてどうもありがとう」



