誰にでも分け隔てなく接する仏のような人だから、男女両方学年問わず人気者って噂の。

しかも成績優秀スポーツ万能、見た目もイケメンという欠点など見つからないような人。


そして生徒会長という高スペックの持ち主らしい。



「じゃーね遥っ!また来週!」


「お兄さんのこと、また教えなさいよー!」


「もっちろん!」



授業が終われば誰よりも早く廊下に出た。

そして誰よりも早く走って、昇降口へ向かう。


その人はきっと家の鍵をまだ渡されていないだろうから、私が先に到着しておかないと玄関前で待たせることになってしまう。

3年生だから一応は先輩。

そんなことさせるわけにはいかない。



「こら、そこの1年生」



キキーッと、急ブレーキがかかった。


背中からかけられた声は爽やかなそよ風みたいだった。

低過ぎず、少し掠れがかった声。



「廊下は走らない。誰かにぶつかったら危ないよ」


「は、はいっ!ごめんなさいっ」


「ん、いい返事」