そんなこと俺に言われても。
だっていま適当に付けた言い訳だし。
それにサッカーなら体育祭で俺の方が上手かった、確実に。
「じゃあ頑張って。俺も応援してるよ」
「はいっ!ありがとうございます!!」
もちろん嘘。
スタメンになんか選ばれず、お前なんか万年ベンチでいい。
柚とのことだって絶対応援なんかしてやらない。
「柚ちゃん、なにかあったの?全然元気ないのよ」
「…俺に任せて」
あれから夕食だってほぼ毎日残すし、さすがに母さんも心配し始めた。
あいつがあんなに落ち込んで静かだとか、空から槍でも降って来るんじゃないの。
「そんなに好きなの?橋本って奴のこと」
「……違う、嫌な思い出が甦ってくるから元気出ないだけなの」
「嫌な思い出?なにそれ」
またベッドにうつ伏せだし。
ポンポンと頭を撫でてやっても俺を見ようともしない。
そんなものがやっぱりどこかムカつく。



