堕天使系兄の攻略方法。





「俺はお前のお兄ちゃんだから、胸くらい貸してあげるよ」



なに、胸貸してあげるよって。

ぎゅってしてくれるってこと…?


いつもいつも子供扱いして、私は子供じゃないのに。

どいつもこいつも女に見てないって、私は意外とそう言われる度に傷付いてるんだから。



「…いい」


「うわ、断ったしこいつ。…まさか抱き締めてくれる彼氏でも出来たとか?」


「そう出来た。お兄ちゃんよりすっごい優しくてイケメンで、大好きな大好きな人」



しーんと沈黙。


そんなのは嘘だ、嘘に決まってる。

とってもくだらない意地を張った強がりにしか過ぎない。

どうせ信じるはずもないから言えたことだ。



「っ…!え、ちょっ…!」


「…なんだ、泣いてないじゃん」



悲しさよりも怒りの方が沸き上がっていた。

それでもそんなものすらも今の状況に引いてしまったのは。


無理矢理仰向けにされたかと思えば、上に覆い被さってきてる男が原因だろう。



「だれ?」


「え…?」


「彼氏。俺の知ってるやつ?」



私も知らないからこそ説明出来ない。

それなのに…。

どうしてそんなに怒ってるの…?
どうしてそんなに機嫌が悪そうなの…?



「っ…!」