「それは俺の台詞。どうしたの?今日はいつも以上にハイテンションで帰って来ると思ったのに」
「…いつもと変わらないよ。わりと元気だよ」
「俺お前のお兄ちゃんだよ?毎日お前のこと見てて分からないと思う?」
なにそれ。
そういうのサラッと言うの良くないと思う。
この天然たらし……。
「バレーすごかったじゃん。褒めてあげようと思ってたんだけど」
褒められたかったよ、私だって。
その為に頑張ったんだもん。
でもどうしてこんなにも元気が出ないんだろう。
それに未だにベッドにうつ伏せ状態だし、顔は上げられそうにないし。
「なにかあった?」
ほら、こーいうときに優しくて。
こーいうときにお兄ちゃん面で。
そんなの学校の女子達が見たらキャーキャー言うよ。
そして私はきっと恨みの対象になっちゃう。
それに今日誰よりも活躍したのは真崎 柚じゃなく羽柴 湊だ。
「ゆーず、ゆずさーん、…お前泣いてんの?」
「な、泣いてないっ!私にだって1人になりたいときがあるの…!」
拗ねるようにぐっと丸まった。
ぎしっとベッドの音がプラスされて、重みも追加される。
震える声は抑えたつもりなのにどうして分かっちゃうんだろう。
ポンポンと頭を優しく叩いてくれる手。



