夢が叶ったと思った。

小さな頃からコツコツと願ってきた思いは、こうして報われるときが来たのだと。



「ここに来るの!?今日!?」


「あぁ。息子さんはお前の学校の3年生だそうだ」


「えっ、じゃあ私はその人の妹で、その人は私のお兄ちゃんになるの!?」



テーブル上のオレンジジュースが揺れた。

苺ジャムのたっぷり乗ったトーストに、少し不恰好な目玉焼きは「そうだな」と微笑む父の用意してくれた朝食だ。


高校生になって数日、そんな今日。


父の再婚相手がこの家に引っ越して来るらしい。



「遥ぁぁぁっ!!」


「いたっ!もう朝から元気ねぇ、相変わらず」


「あのね遥っ!すごいよ!今日ね!とうとう今日なんだって!帰ったら家族でっ、それでっ、」


「あー全然伝わってこなーい」



小学生から幼馴染の七瀬 遥(ななせ はるか)に朝からダイレクトアタックを決め込んだ私、真崎 柚(まさき ゆず)。


この学校はほとんどの生徒がエスカレーター式のため、新しいクラスも半数以上が知った顔。

新しい顔はレア中のレアで。


それでもどうやら、私の兄となってくれる先輩はそのレアの部類らしく。