「か、格好いいなぁって思ったよーだっ」
「───…は?」
だから今度は仕返してやろう。
される前にするのみっ!
べーっと舌を出して、兄のように意地悪な笑みをしてみた。
「さっすが私のお兄ちゃんだなって!」
どうせ効かないだろうし、「生意気」なんて鼻をつねられてしまうかもしれない。
それでも最近になって兄が意地悪だけじゃない一面があるというところを知れたことが嬉しかった。
それに今日少し寂しそうな顔を見て、もっと知りたいとも思った。
私が知らないこの人を知りたいって。
「……え、…おにーちゃん…?」
まさかの腕を掴まれて壁に追いやられてしまった。
じんじんと掴まれた場所が熱い。
それに大きな手だ、男の子の手。



