「ふーー、さすがに2人分はキツかったぁ…。でも美味しかったぁ…」
歩くのも一苦労。
呼吸もしづらく、ぽっこりとお腹は膨れてしまった。
ソファーで食休みしてたけど、そろそろお風呂に入らなきゃ。
まるで妊婦さんにでもなった気持ちで階段を登った。
「あぁ、柚。お風呂ちょっと待って。俺まだ着替え終わってないから」
「なっ…!」
いやいやここは2階ですよ?
どうしてそんな場所に腰にバスタオル1枚のあなたが居るのか。
それに髪も濡れてるし、なんていうか……見ていいのかなこれ。
「着替え忘れちゃってさ。…なに、もしかして照れてる?」
「そっ、そんなことないよ…っ」
「ふうん?」
ちょっ!なんで近付いて来るの!?
というか筋肉…!肌白っ!!
この人って着痩せするタイプだったんだ…。
ガリ勉のくせに意外とガッシリしてる…。
「あ、今ガリ勉のくせにとか思った?」
「エスパー!?ちょっと、待って、近い近いっ!」
同じシャンプーの匂いだ。
さっきとはまた違う空気感に、しどろもどろになってしまう。
この兄は優しいのか意地悪なのか分からなくて、一体なにを考えてるのかも読めない。
きっとウブな私をからかって遊んでるに違いないのだ。



