しゅんと落ち込む私に、頭上から優しい声が落ちてきた。
ポンポンと頭を軽く叩いてくれる。
「でも、お前とならどこでも楽しいってことが分かったよ。…ありがとう柚」
笑った───…。
その笑顔は初めてかもしれない。
これは妹の特権?
それともお兄ちゃんの顔をしてるだけ?
「だ、だって私の馬鹿さ加減は世界救えるからねっ」
「…そうだね。俺の言った通りじゃん」
玄関を開けば温かな家族の音があった。
初めて迎えたときはどこかつまらなさそうな顔が鏡に映っていて。
でも今の私はきっと楽しそうな顔をしてるはずだ。



