そんな私のスマホはひょいっと奪われてしまった。
食事中は使用禁止、と新しいルールまで作ってくる。
お兄ちゃんというよりもうお母さんの域に来てる気がする……。
でもあの小指の意味、気になるなぁ。
「…それは“お兄ちゃん”って意味」
「え、そうなの?なぁんだ!」
コソッと耳打ちをするように言われ。
注文を取ったときに大将に「この人は私のコレです!!」と、小指を立てて豪快に言ってあげた。
すると隣の男は肩を震わせて笑い出す。
大将はもっとニヤニヤし出すし…。
「え、どーいうこと…?なんでそんなに笑ってるの?」
「本当、お前の馬鹿さ加減は世界救えると思うよ」
「なにそれ…っ!馬鹿にしてる!?」
「はいはい、うるさいうるさい」
それでもこうして普通に話せていることが嬉しかったり…。
周りからは本当の兄妹だと思われているのかな。
差し出されたラーメンを啜りながら私も笑った。
「お、懐かしいなぁ。すげえ強かったよなこの格闘家」
「あぁ、羽柴 透(はしば とおる)だっけ」
背中のテーブル席のおっちゃん2人の会話の先は、高い場所にあるテレビ画面。



