「…ふっ、」



あいつにそっくりじゃん。

ウサギパンツだし、色気ないし、俺を前にするといつもビクビクするのにどこか愛嬌があって。


…こうして可愛く笑うときもある。



「これ、俺が貰ってもいい?」


「え、でも落とした生徒の物じゃ…」


「だって捨てられてたんでしょ?本当に大事なものならとっくに聞きにくるはず。
…可哀想じゃん、こいつが」



そっと机の横にあるフックにかけた。

なんだろ、こうしてると落ち着く。
落ち着くっていうか安心するっていうか。


今にも「お兄ちゃんっ」なんて言ってきそうだ。



「…湊さん、最近表情が柔らかくなりましたね」


「そう?」


「はい。今もです」



自分ではそんなこと気にしてもなかった。

もし誰のおかげ?と推測するならば、頭に出てくる存在なんか1人しか居ない。



「ねぇ佐藤。佐藤は兄妹とかいる?」


「はい、妹が1人居ます」


「本当に?……妹ってさ、可愛いよね」



袋から焼きそばパンを取り出す俺の表情は、きっと優しいものなんだろう。

なんとなく、そんな気がした。