「今から30分……いや、20分でいいや。20分間2階には来るなよ」


「え、なんで…?」


「なんでも。あぁそれと、出来ればテレビでも見ててよ。音量大きめでね」



え、なんで…?

私だって課題を進めなくちゃならない。


来週中間テストあるし、テスト勉強しなければいつも以上に絶望的すぎてまた居残りになってしまう。

居残り常習犯はさすがに卒業しなくちゃならないのに…。



「それは困るよっ」


「なんで?」


「来週テストだよ!勉強しないと赤点取っちゃうんだから私なんか!」


「1年の中間テストなんかどうせ半分以上中学のお復習だろ?勉強なんか要らないでしょ」



いやあなたと比べられたら困る。

頭の構成から違うんだから。


するとそいつは不貞腐れる私をじっと見つめて、口を開いた。



「…お前、苦手な教科なに?」


「えっと……全部…」



そしてやれやれと首を振って何かを考える素振りをした。

「早く行こうよぉ」なんて言ってる女を気にすることなく、男は1つの提案。



「あとで俺が勉強教えてやるから、それでいい?交換条件」


「え、本当に!?いいの!?」


「…別に暇だし」



初めて兄らしい言葉を言ってくれたと思った。

だってこの男はやはり学年1位だという。


あわよくば勉強教えてくれないかなぁ…なんてずっと思っていた矢先。