対する私は恋愛経験もなければ初恋は呆気なく砕け散るという過去の持ち主で。

そーいうことは全くもって分からないのです。



「案外お兄ちゃんは柚のこと好きになっちゃったりして」


「………え。絶対ない。それだけは無いって断言出来るよ」



どうかな?なんて笑ってるけど。


あの悪魔の本性を知らないから言えちゃうんだ遥は。

このまま隠し通せるかなぁ私…。



「つっかれた……」



帰宅して早々ベッドにダイブ。


案の定、全身筋肉痛となった身体はヒイヒイと悲鳴を上げていた。

部活とかやってれば良かったかな…。

運動部に入ってれば、こんなのおちゃのこさいさいだったはず。


勉強も出来なければ運動もそこそこ。

元気だけが取り柄の15歳。



「あれ?誰か居るの?」


「あぁ、妹が1匹」



1匹ってなんだ。

人をペットか何かだと思ってるのか、あの男は。

どうやら悪魔様のおかえりらしい。


その声は知っているものだけではなく、甲高い甘い声を連れて来てるっぽい。

まさか生徒会長が家に女を連れ込んでる…?


こんなにも弱味を握れてるのに何ひとつ活かせない私ってなんなの…。