そしてゆっくりと唇は離れる。



「お前の攻略方法はさ、すっごく難しいようで、案外簡単なんだよ」



攻略方法───…。


じゃあお兄ちゃんの攻略方法はなに?

どうすれば私はあなたを攻略出来るの?



「…お前はここで、難しいことなんか何も考えずに“うん”って言えばいいんだ」



もうこの人しか見えない。

この人が居れば大丈夫、なにも心配することなんかない。


兄妹でいなくちゃという責任も綺麗に剥がれていく。



「…うん…っ」



そして彼はもう1度私に唇を落とした。
今度はちゅっと触れて、すぐに離れる。


そして笑っている彼は意地悪で、嬉しそうで。

私が大好きな顔だ。



「───…それが俺の攻略方法だよ」



難しいようで簡単だった。

あぁでも、ある意味それが一番難しいのかな。


気持ちを素直に伝える。

それが難解なのかもしれない。




「好きだよ柚。
羽柴 湊は、真崎 柚が───…大好き」



「……湊くん…っ、私も…大好き…っ」




目を合わせて周りを気にせず。


やっと、呼べたね───。