きっと大学生になれば、またモテちゃって。

それですぐ彼女なんかも出来て。

久しぶりに帰って来たと思ったら女を連れてくる、そんなものしか想像が出来ない。


そして私は妹として「おかえり」って言うの。



「泣かないで柚。俺、お前からバレンタイン貰っていい?」


「…え、お兄ちゃんこれ食べるの…?それにちょっと味も美味しくなかった…っ」



お母さんには教えてもらったけど、これは私が全部自分で作りたいって言って見守ってくれてるだけだったから。


私の味付けは実のお母さん似なのかなぁ。

…そういえば料理も下手なんだった私。



「…俺が一番欲しかったものはこれ」


「わっ…!───…っ!!」



抱き締められるように引き寄せられたかと思えば。

後頭部を押さえられた手。


唇に柔らかい感触、それをわざと全生徒に見せびらかすように。



「「「きゃぁぁぁぁぁ~~~!!!」」」



それはときめいているもの、悲しんでいるもの。

1人くらいは喜んでいるものもあるのかな…。



「んっ…おにい…ちゃ…っ」



みんな見てる…。

絶対バレるなって最初言われて、結局バラしてるのはいつもこの人だ。


それなのに、ふっと笑うのも彼で。