「明けましておめでとう柚。今年もよろしくね」



むにゃむにゃと寝言で言ってるつもりなのかな。

父さんと母さんにも同じ言葉を送って、俺は妹をおぶって階段を上がる。



『男の人として…羽柴、湊くんが…すき』



それからの柚は、勉強を教えてとねだったり、面白いテレビがあれば一目散に知らせてくれたり。

嫌いな食べ物をこっそり俺の皿に入れたり。


本当の妹に、ただの妹に戻ったみたいだった。



「…俺まだ何も言えてないんだけど」



言わせてもくれない。


そうだよね、お前ってそういう奴だよね。
鈍感なくせに臆病。

それで勝手に自己完結してさ。



「…お…にー…ちゃん、」



寝言?
夢でも俺と一緒にいるの?

お前って本当に俺のこと好きだよね。


でもさ、それは俺も同じなんだよ。



「俺、前に言ったはずなんだけどな。───…妹として扱わないから覚悟しろって」



忘れちゃった?

俺はあれからお前のお兄ちゃんとして扱ってきたつもりは無いんだよ。



「…柚、」



前髪を退かして、そっとおでこに唇を合わせた。




「───やっと分かったよ、お前の…俺達の攻略方法。」




今度は、俺の番。