まるでスパルタだ。
声が出てない、歌ナメてる?とまで言われてしまった…。
「好きな人を思い浮かべて!この歌の主人公になりきるの!!」
「は、はい…」
「私達はこの日の為に頑張って来たの!」
確かに彼女達は今日までたくさん練習してきたはずだ。
この歌を全校生徒やお客さんに届ける為に。
メンバーが欠けてしまって不安な中でも、精一杯ベストを出そうとしている。
「ごめん原田さん。…もう1回通してもらっていい?ここまで来たらやるぞ!!当たって砕けろっ!!」
「いや砕けちゃ駄目!!よし、じゃあ頭から!」
「「おうっ!!」」
そして40分はあっという間に過ぎて、ステージ脇から覗いた会場にはたくさんの人が居た。
ファッションショーやダンス発表、演劇まで。
様々な出し物が淡々と終わってゆく。
そして最後の砦を飾るのが、軽音部の演奏だ。
「いくよみんなっ!最高の演奏をっ!!」
「「「おーーー!!!」」」
ステージ脇で円陣を組んで、私は表舞台へ向かった。
その歓声の中にその男は一番最初に見つけてしまった。
まずはポップな曲を数曲歌って、会場は意外にも盛り上がった。
もちろん声はガチガチに震えたけれどサブボーカルの原田さんが何とかサポートしてくれて、無事に演奏は終わった。



