「…本当にお子ちゃまだよね、柚って」
「あら、もう立派にお兄ちゃんの顔ね」
本当に?
俺って母さんから見てもそう見えるの?
今のは2つの意味を含んでるんだけど。
でもやっぱり、俺達はそれ以上になってはいけないのかなぁ。
「不思議ね。まだ家族になって1年も経ってないのに、ずっと一緒に過ごしてきた感覚になっちゃうんだもの」
「…それくらい賑やかだったからね、特にあいつが」
いつも食卓を盛り上げるのは柚の笑顔で。
俺がからかって、それで怒ったり拗ねたりして、そんな俺達を見て両親は笑う。
そんな毎日が俺も楽しかった。
「ふふ、知ってる?あなた柚ちゃんと関わるようになってから変わったのよ」
「…え?」
「昔みたいに笑うようになった。…あなたの本当のお父さんが生きてた頃と同じ顔をしているの」
こんな話は柚と父さんが居ないからこそ出来るものだった。
それでも後ろめたさはなくて、むしろこうして母さんとも改まって思い返すのは初めてかもしれない。
俺達自身がどこかタブーにしてきた部分があったから。



