「事故物件だった…!それも返品不可能のっ!」


『え、どういうこと?顔がってこと?』


「…いや顔は……タワーマンションくらい…」


『最高じゃん』



噛み合わない…会話が全然噛み合わない。

伝えたいことはそーじゃないのにっ!


実は羽柴 湊だったの!なんて言えないからこそ尚更。

だから遥には「全然目立たない他校の先輩」と嘘を言って。



「はーーー……人ってやっぱり顔じゃない…」



格好良い俳優さんだって、イケメンなアイドルだって。

テレビで見るとキラキラしてるけど実際前にすると微妙…ってなることは良くある。


少し遠くから眺めていた方が良いことだってある。

これは確実にそーいうことだったのだ。



「いーや考えるのやめたっ!もうなるようにしかならないっ!お風呂っ!」



あ、シャンプーあと少しで切れそう…。
また学校帰りに買って来なきゃ。

ん…?隣に見たことない備品がたくさん増えてる。


…あぁ、新しい家族のものか。



「……こんな感じなんだ…」



シャーーーーと、シャワーを出しっぱにしていることに気付いてキュッと止める。