「どうだい湊君。我が家で暮らせそうかな?」


「はい。色々揃えてもらったみたいでありがたいです」


「はははっ、息子というのはやっぱりいいなぁ」



なにが「俺も嬉しいです」だ。


私はさっきのようなことを録音でもして、学校にばら蒔くことだって出来るんだから。

強めの力加減で割ったハンバーグからじゅわっと肉汁が飛び出した。



「柚ちゃん、お味はどう?」


「す、すごく美味しいです…」


「あら良かったわぁ」



その隣の男の顔が見れなかった。

モグモグと口いっぱいに詰め込んだ私をリスみたいだと笑う兄(仮)。

その視線が言っていた。


余計なことしたらどうなるか分かってるよね?と。



「遥ぁっ、聞いてよ…っ」


『あれ?もしかして何か問題発覚?』


「大有りだよ!問題だらけなのっ!!」



その夜、電話の先の遥へ泣きついた私。

もちろん隣に聞こえないようにベッドの上、布団にくるまってお手軽防音室の完成だ。


この先こうして恐怖と隣り合わせの生活をしなきゃいけないの…?

ストレスで禿げちゃわない…?