───あ、やばい。
「ふぇ、…ふぇ、」
ムズムズする。
鼻が、ムズムズする。
突如現れた花粉が柚を襲う───!!
「ぶえっくしょいっっっ!!!………あ。」
「………」
ふりかけた。
それはもう盛大に。
綺麗な男の顔面にクリーンヒット。
ティッシュティッシュ、鼻水だらけだ私もあなたも。
「うぶ…っ!!」
眼鏡を探すアニメキャラみたく、両手を右往左往動かせば。
まるでそれは仕返しかのように顔面へと容赦なく飛んで来た。
箱ティッシュって普通顔面に投げる…?
でも何するの、……なんて言えない。
だってドス黒い微笑みが目の前にある。
「…お前さぁ……」
「ぎゃっ!」
再び両頬を掴まれて、ニコッと笑う瞳が案の定開眼。
「俺こういうの絶対忘れないから。お前が忘れた頃に100倍になって返ってくるからね。…覚えとけよ」
1つ、意外と口が悪いです。
1つ、かなり意地汚い性格してます。
1つ、天使なんかじゃありません。
菩薩でもありません。
天使から悪魔に変わってしまった人です。
言うなれば、この男は堕天使です。



