「…ストロー」


「…ストロー…?」


「そう。風邪引いたときにお前吸ってただろ?そんな感じでやってみな」



えっと、確か…。

ちゅーっと吸って、ごっくん。



「……付いたっ!!」



数分経てば消えてしまうくらいに薄い色だったけど。

確かに私が付けたかったものがちゃんと色付いていた。



「お兄ちゃん付いた───…んっ」



言葉は遮られた。

ちゅっと、静かな部屋に響いては消える。



「…お前みたいなテンションでキスマーク付ける奴って中々居ないよ」


「仕返しだよ…!てかこーいうの、もうしないって言ったのにっ」


「俺そんなの一言も言ってないけど」



耳元に唇を寄せてくる。

微かにかかる息ですら擽ったくて、心臓が今にも飛び出してしまいそうだ。



「どこまで意地を張れるかな」



楽しそうに笑った兄。
それは全て見透かされている合図。

「素直に言いなよ」と言われてるみたいで。


言ってしまえば止まれないのを知ってるから、ぎゅっと唇を結んだ。