羽川さんはどこか変わった。

前までは優しいバイト先の先輩って感じだったのに、今だって通せんぼをするように道を塞いでくる。



「まさかお前らってそういう関係なの?兄妹同士で…とか?」


「な、なに言ってるんですか…?」


「でも俺、あの兄貴のいけすかねー感じ、すげー嫌い」



知らないよそんなこと。

それにお兄ちゃんのことを悪く言わないでほしい。

羽川さんは何にも知らないくせに悪いところばっか見て、なにに苛ついてるのか知らないけど。


それに“柚”って馴れ馴れしく呼ばれるのも本当は嫌だった。



「ねぇ、飯食いに行かない?俺のこと嫌い?俺は柚は良い子だから好きなんだけどなー」


「帰るので退いてくださいっ!」