「ありがとうございましたー!」



カランカランとドアに付属したベルが鳴り、満足そうな家族連れは店を後にした。

セットメニューに付いてきたおもちゃを嬉しそうに持っている男の子へと最後まで手を振ってからの次バッシング。



「お疲れ。もう俺が居なくても余裕じゃね?」


「はいっ!おかげさまで!」


「素直すぎてグサッと来るわー」


「あ、ごめんなさい!」



アルバイトはどうせ夏休み中の短期間だけだったから、つまらなさそうな兄が気になりつつも続けていた。

それにここまで仕事も慣れてきたし、楽しいと感じている。


……1つを除いて。



「柚、このあと良かったら飯でも食べに行かない?」


「えっと、今日もちょっと用事があって…」


「また兄貴が駄目だって?」



別にそういうわけじゃない。

そういうわけじゃないけど、どうしてこの人も毎回毎回誘って来るんだろうと不信感。


いつもいつも帰宅時間を合わせて来るし、羽川さんが早く上がったときは外で待ち伏せされてる。

それが少し面倒だった。



「柚も兄貴離れしろよなー。例え血が繋がってなくたって兄妹がそんな距離近いとか引くわ」