そんな笑顔が見られるなら何だっていい気がした。
例え少し前にスマホで意味をこっそり調べていたとしても。
それが“兄妹”じゃなく“恋人”という意味を持つことを知っていたとしても。
知らないふりを続けて、そう言えるならばそれで幸せだった。
…こんなこと、お兄ちゃんには言えないけれど。
「俺かなり強かったよ?東日本では優勝だし、毎年全国行ってたからね普通に」
「え!すごいっ!……あ、だから結構筋肉あったんだ…」
「あれ?なにを想像してるの?」
「なっなにもしてないよっ!!全然してないっ」
ゴホゴホとラーメンで噎せた。
トントンと当たり前のように背中を叩いてくれる手に、また胸が高鳴った。
「───変態だねぇ、柚」
「っ…」
耳元で甘く甘く囁かれる。
こんなラーメン屋さんで、小さなカウンター席で。
だからこそ肩はコツンと触れている。
ガヤガヤと周りは賑やかなのに、時間が止まってしまったみたいに私の目の前にはキラキラと星が散らばった。
「帰ったら一緒にお風呂入ろっか」
「えっ…!?」
「それか一緒に寝る?」
「なっ…!」
こんなの心臓持たないって…。
そんな私達を見ていた誰かがすぐ近くに居たことなんて。
そのときの私は気付いていなかった。
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