「だから安心して見守ってあげてください…!もし、この人が立派なお父さんとは正反対の行動をしようとしたら……
妹の私が蹴ってあげます…!けちょんけちょんにしますっ」
「…なにそれ」と微笑んだ兄の声はどこか震えていたけれど、それでも優しかった。
だから任せてください。
この人は私が必ず笑顔にしてみせます。
新しくお父さんになった男は少し頼りないかもしれないけど、悪い人じゃありません───。
「なので羽柴 湊のことは───…真崎 柚にお任せくださいっ!!」
あまり長くはないお話を聞かせて、涙をぐっと拭った。
セミの声も肌を焦がすような真夏の暑さも、どこからか吹き抜けるそよ風に逆に心地良さが生まれる。
「…お前を連れてきて正解だったよ」
鼻を啜る音と小さく呟かれた言葉は、聞こえないふりをした。
そのあとはコンビニでアイスを買って近所の公園で2人並んで食べて、前とは逆に彼の過ごした町を案内してくれた。
そして夕食はあのラーメン屋さんへ。
「へいらっしゃい!お、柚ちゃん!相変わらず格好いいコレを連れてるじゃないか」
「…うんっ、コレ!」
小指を立てた私に、またまた爆笑する兄。



