ただその背中を追いかけて、知らない場所を歩いて。
そして彼が立ち止まった場所はお寺だった。
少し人目の無い場所にあるお寺だったけれど、中にはちらほらと参拝客が散らばっていた。
「…ここ、俺の父さんの墓」
そしてたどり着いた1つの前。
彼は慣れない手付きで水をかけて花を飾って、お線香に火を付ける。
ただぼうっと眺めていた私は、ここに来てやっと意識が戻った。
「羽柴 透。…聞いたことない?」
「……ら、ラーメン屋さんで、」
「そう。あの人、俺の本当の父親って言ったら信じる?」
細い煙が立てられたお線香から空へ上がってゆく。
静かに手を合わせて目を閉じる彼は今、なにを思っているのだろう。



